くらやみ列車

――乗ったら二度と降りられない電車がある。

旅行先でたまたま乗った古びたローカル線。私はその車内で近くに座っていた乗車客の会話から『亡霊列車』の噂を知る。

たくさんの亡霊に取り憑かれたその電車に乗ると、トンネルを抜けて異世界へ連れていかれるという。

不思議な話もあるものだ。。と、適当に聞き流していると車掌がゆっくりと歩いてきた。

「......乗車券を拝見します」

今はもう珍しい改札鋏を持ち、座席をまわりながらひとりひとり紙の切符をきっていく。

パチンパチン、鋏の音に紛れて奇妙な音がする。

ガンッ、ガンッ、ザシュッ、ザシュッ...

「誰か、誰か！助けて！！」

断末魔の悲鳴が聞こえた時、闇が明ける。

そこにあったのは先ほどまでとは違う異世界の景色、そして......血みどろの死体。

ふふふふふ...と不気味に笑う車掌。

ようこそ・・『亡霊列車』へ！